おのずと生成されたボーイズネットワークからすると、女性リーダーは特殊な存在。こんなとき、どうする? 《ジェンダーギャップ編-6》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
大企業のなか、たった2人の女性セールスマネージャーのうちの1人として、日々奮闘しているアケミさん。一向に女性のリーダー職が増えないのは、社内にはびこるボーイズネットワークにも問題があるのではないかと感じているそう。女性管理職を増やすためには、イベントで女性だけを集めて意識向上を狙っても意味がない……?
同じ職位の女性はたった1人。ボーイズネットワークがはびこる社内では、イレギュラーな存在の私たち
私と同じセールスマネージャーという立場の社員は、全部で14人。そのうち女性は2人だけなんです。
私たちの存在は、イレギュラーだと思われているでしょうね。
私の方は、セールスはそれなりですが、本社の経験がある。
もう1人の女性は、10年以上の現場経験があり、トップセールスでもあった。
そのくらいの特殊な要素がないと、女性マネージャーにはなれないと思われているんじゃないかな。
一方で男性たちは、彼らだけのネットワークを醸成していて、そこで引き上げられるんです。上層部の男性は、大変尊敬できる人ではあるのですが、あからさまに男性を優先的にすくい上げるんですよ。
でもそれは、女性を排除しているわけではなくて、彼が仲間だと思える人が男性だった……という感じ。そこに差別的な理由は決してないんだと思います。
そういう状況をよく見せられているので、女性陣としても「あの席に座るのは私じゃない」という意識になってしまっているように感じます。
おのずと女性自身がリーダーの席を狙わなくなって、結果としてよくないスパイラルになっている感じがします。
ダイバーシティのイベントは、女性だけ。マイノリティ側を集めるのではなく、全体で可視化していくべきでは
社内では、ダイバーシティ推進のためのイベントもありました。でも、企画側が集めたのは女性だけで、女性たちにリーダーになるトレーニングをさせるような内容でした。それはそれで無駄だとは思いませんが、私は逆に全体でやることに意味があると実感したんです。
半年間ぐらいのセッションでしたが、本気でやりたがっていない女性もいました。「こういう時代だしチャレンジしようかな」という女性ばかりではないんですよ。いいか悪いかではなくて、それが現実なんだな、と。
やりたがらない人たちの意識を無理に変えようとするよりも、女性のなかにもいろんなフェーズの人や意識のグラデーションがあって、それは男性のなかにもあるということを可視化した方が、お互い健康的なんじゃないかなと思います。
だから、マイノリティだけを集めるのではなく、全体でイベントをやりたいですね。
私と似たような意見を言っている社員も少なからずいたので、社内の意識は遅かれ早かれ変わっていくとは思います。
でも、ボーイズネットワークは本当に根強い。数少ない女性マネージャーとして身近なところで見届けつつ、問題提起していきたいところです。
イラストレーション:高橋由季