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根強いジェンダーギャップのせいで、後輩たちがキャリアアップに及び腰。こんなとき、どうする?

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

今回は、とある自治体で働くりん子さんのパターン。ジェンダーギャップの大きな職場環境で女性リーダーとして働く大変さや、工夫していること、後輩たちへの想いを伺いました。

ニックネーム:りん子(50代)
◆職種:自治体保健師
◆チームメンバーの人数:8人
生まれ育った街を離れ、とある自治体で保健師として勤務。明るく前向きな性格で、チャレンジャー。前例踏襲が多い環境のなかに新しい風を巻き起こしている。


男女比に大きな偏りがある職場。女性が軽視されていると感じることもしばしば……


働き口が限られている地方において、自治体というのは、都会でいう大企業のような存在です。それでも、女性職員の割合は3割弱と少数派。今までずっと、昔ながらの男性優位な環境で働いてきました。

また、入職してまずぶつかる壁が配属の男女差です。男性が若いうちからさまざまな経験を積む一方で、女性職員のほとんどは窓口業務やケアワークと決まってしまっています。住民サービスの最前線で働く誇り高い仕事なのですが、自治体ならではの「予算の編成や条例の整備といった行政運営にかかわる仕事ができてこそ一人前」という風潮があり、男性職員たちから軽視されていると感じてしまうことも事実です。

そんな構造のなか、専門職の立場である私は、行政運営にかかわる仕事をあまり経験しないまま歳を重ねてきました。課長補佐となった今の日頃の悩みは、男性上司から認められていないように感じることです。

たとえば、私のチームが担当となっている、ある要綱を改正したときのことです。わからないことがあれば私に質問するのが筋だと思うのですが、彼はわざわざ隣のチームの男性職員に質問するんです。その人に任せるのも申し訳ないので、そばにいて会話を聞き、隣で一緒に対応するようにしましたが、その後も状況は変わらず。何カ月間もそういったことが続きました。

どうやら、彼は「専門職の女性には重要業務はできない」と思い込んでいるようなのです。


「そういうものだ」と受け身になってしまっている後輩たち


私自身がこのような状況のなか、同じ環境で働く女性職員たちはキャリアアップについてどう考えているのだろうと思い、聞いてみました。ある若い女性職員は、とても優秀なのにもかかわらず「私なんて無理です。自信がない」。また、別の女性は「もし私が課長になれと言われたら、意地悪で言っているのかと勘繰ってしまう。だって、今まで何の経験もさせてもらえていないのだから」と言っていました。

田舎の古い体質の中で育ち、周りに女性リーダーのロールモデルがいない環境で働いてきたのですから、イメージが湧かないのは当然のことなのかもしれません。


ロールモデルがいないからこそ、自分らしいやり方で


でも、そもそもロールモデルは必須なものなのでしょうか。
私もロールモデルがいないまま課長補佐になった身なので、日々わからないことの連続です。だからこそ、「お願い、わからないから教えてちょうだい!」と男女分け隔てなく尋ねるようにしています。弱さをあえて見せて、教えてもらうスタンスです。また、一番の相談相手は年下の後輩で、彼女のことをメンターだと思って頼りにしています。
このようなやり方は、人に聞くのはかっこ悪いと見栄を張りがちな男性には難しいかも知れません。

思い返してみれば、私も20代、30代の頃は自分がリーダーになることなんて考えもしませんでした。ただ、自分の置かれている立場の中でよりよくしたい、もっと面白いことをしたいとチャレンジし続けてきました。

ジェンダーギャップが無くなるまでにはまだまだ時間はかかりそうですが、今の30代を見ていると新しい風も感じます。仕事をやる上での勢いがありますし、育児と仕事を両立している職員も多いんです。彼、彼女らがリーダーになる頃には、職場環境はもっとよくなっていくような気がしています。

私は女性職員の活躍を願う一方で、自分をロールモデルにして欲しい、とはまったく思っていません。男性たちがオールド・ボーイズ・ネットワークで閉鎖的な人脈づくりに励むなか、女性職員の多くは一匹狼。同じような立場の人がいない孤独感を抱えながらも、励まし合いながら一人ひとりが仕事のやり方を模索しています。後輩たちには、上の世代を参考にしつつも、自分らしさを大切にしてそれぞれの道を切り開いてくれたら、と思っています



イラストレーション:高橋由季






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