上司同士の関係が悪く、チームにとばっちり。評価も上がらない。こんなとき、どうする? 《板挟み状態編-7》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
チームリーダーを務めるふみさんは、部下との関係も直属の上司との関係も良好で、業務も問題なく進めることができていた……はずでした。実は、上司はその上の役員との折り合いが悪く、そのせいで知らないうちにチーム全体の評価が下がるという、とんでもないとばっちりを受けていたのでした。2人の間に挟まれたふみさんが、リーダーとして取った行動とは?
犬猿の仲な役員と本部長。知らずに下で働いていたら、思わぬ影響が……
私と、直属の上司である本部長との関係は、もともと良好だったんです。お父さんのように慕っていたし、かわいがってもらっていたんですが、あることに気がついてから、一気に険悪になってしまいました。
私たちチームは真面目に働いているのに、みんなの評価がなぜか低いという状況が何期か続いたんです。おかしいなと思ってあれこれ調べてみたら、社内政治のあおりを受けた状態だとわかったんですよ。
実は、本部長と、バックオフィスをまとめる役員が、すごく仲が悪くて。本部長は役員が嫌いだからといって指示を聞かず、勝手に自分のやりたいことを私たちに指示していたんです。
評価をつけるのは役員だから、「あれ?僕の言ったこと、やってなくない?」となって、私たちの評価はガタ落ち。
そして、本部長が自分の言うことを聞かないとわかった役員は、本部長を飛ばして私に直接指示出しするようになってきました。それは本部長も面白くないわけです。「役員から言われたのでやっておきます」と私が言えば、「いや、俺は聞いてないし!」って。
たぶんどこかで「本部長という立場が脅かされる」と思うようになったんでしょう。そこからはもう、私への当たりが強くなっていきました。
ずっといい人だと思っていたのに……。
たとえ空気が重くなっても、指示内容が共有できる場を設ける
とはいえ、チームをまとめる立場の私が何をすべきかといえば、役員側の指示を聞くこと以外にはありません。
そこで、役員が私に指示する場に本部長も立ち会ってもらうスタイルを取ることにしました。「総務部門の管理職として、2人で出ましょう」と誘って。
役員と私がやりとりをしている間、本部長はまったくしゃべらないんですけどね。でも、一応その場にいることで、何が指示されて、私のチームがこれから何をするのかがわかるから、少なくとも「俺は聞いてない」は回避できる。
ほかに取れる策はなかったと思います。結局、以前のような関係に戻ることはなかったけれど、前ほどは当たりがきつくなくなりました。
メンバーのことを考えているからこそ、リーダーとして上司との間に立つ
個人的に、ミドルマネジメントの立場でうまくやっていく一番の肝は、上司との関係性だと思っているんです。
本当の意味で仕事ができる上司についているのなら、なんら問題ないとは思いますが、実のところそんな人はそう多くないと思います。それに、相性がピッタリ合う上司に巡り会うことも少ないですよね。
本部長も私情を抜いて役員とどうにか協調できたら、彼自身の評価が下がることもなかったはず。
私はあくまでも自分と自分のチームを守ることが第一優先。企業のなかの一社員であるからこそ、組織全体の評価が下がることのないよう、上の立場の人たちのいざこざや理不尽には飲み込まれないぞ、と踏ん張っています。
イラストレーション:高橋由季