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丁寧に指導したのに成長しないどころか、自信を失う部下。こんなとき、どうする? 《チームマネジメント編-15》

リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。

同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

部下を成長させたい一心で、手取り足取り教えていたサチコさん。しかし、部下が「自分で成し遂げた」と感じられず、かえってミスが増えて自信を失ってしまうことに気づきます。この課題を乗り越えるために見つけた解決策とは?


部下が「自分でやり遂げた」と感じない。丁寧すぎる指導の落とし穴


「部下をしっかり育てたい」。そんな思いから、丁寧に指導をしようと手取り足取り教える人も多いでしょう。私も以前はそうでした。ですが、この方法が逆に成長を妨げる場合があることに気づきました。

上司として細かくサポートしても、部下が一人で作業できるようにならないことがあります。その場では本人も理解はしているし、仕事はうまく進んでいるように見える。でも、いざ一人でやろうとすると失敗するのはなぜなのか。模索した結果、部下が「これは自分の仕事だ」と認識できていないことが原因だとわかったのです。

手取り足取り教えると、「これはサチコさんが進めてくれた仕事だ」と捉えてしまい、自分でやり遂げた実感を持てません。またタスクを段階的に細かく指示すると、一連の流れが見えず、単に「振り分けられた作業をこなしている」感覚に陥ります。その結果、一人で進める際にはミスが増え、自信を失う……。悪循環です。

達成感が得られず、意欲が薄れ、考える力も育たない。良かれと思っての指導が、逆効果になる落とし穴がここにありました。


十分なヒントを与え、成功体験を積ませる育成スタイルにシフト


「どうすれば部下が自分で考え、行動できるようになるのか?」。その答えを探すなかで、私は自分が部下だったときのことを思い出しました。「こうしてくれていたら、もっと成長できたのに」と感じた経験です。

その記憶を頼りに行き着いた考えが「ヒントだけを十分に与える」という方法です。すべてを細かく指示するのではなく、部下が自分で答えを導き出せるよう、考える余白を残します。
例えば、部下の仕事ぶりを見て「ここでつまずいているのでは?」と感じたときには、メンバー全員に向けて、自分の成功例や失敗例を共有し、間接的にアドバイスをするよう心がけます。

ヒントを与えることで、部下が自分で考え行動し、達成感も得られる。そうすれば、次の仕事にも意欲的に取り組むようになり、良い循環が生まれるはずです。

私の限られた経験でも、活かして部下に示せるものがある。そう考え、意識的に時間を取るようにしています。


ロールモデル探しから卒業! 自分がどうありたいかを基準に


振り返ったときに「あの人のおかげで成長できた」と思ってもらえる存在でありたい。これが私の目指すリーダー像です。よく「社内にロールモデルを見つけなさい」と言われますが、私自身、理想的なお手本となる上司に出会ったことはなく、「ロールモデル」を持った経験もありません。

ロールモデルとされる人たちは確かにすばらしい存在です。しかし、その成功に至る過程や努力は本人にしかわからず、人間としての深みはむしろその裏側にあるのではないでしょうか。だからこそ表面的な成功を真似るよりも、「自分がどうなりたいか」「どう生きることが幸せなのか」を突き詰めることのほうが大切。そう思って生きてきました。

だからこそ、「自分自身が部下にとってのきっかけになりたい」と思うようになりました。誰かの成功を真似るのではなく、自分の価値観や目標を見つけて進んでいく。そのために背中を押す存在でありたいと考えています。




イラストレーション:高橋由季











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