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自己顕示が強い人は認められやすいけれど、そうではない人は能力があっても目立たない。こんなとき、どうする? 《ジェンダーギャップ編-10》

リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。

同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

大手食品会社で営業としてメンバーを束ねるキョウコさん。プレイヤー時代は気が付かなかった「オールドボーイズネットワーク」に直面するも、冷静にみてみると納得できる部分もあったのだとか。かといって、そのネットワークに属さない人もすくい上げなくてはなりません。そこでキョウコさんがリーダーとして、取り入れた策とは?


上長から評価されているのは、自己アピール強めの男子!?


マネージャーになるまでは意識もしていなかったんですが、初めて上長目線でスタッフの評価を見聞きした際、オールドボーイズネットワークの根深さを感じたんです。

「何でこの人がそこまで良い評価なの!?」とか、「なんであんなにできる人がフツーの評価で、しかもそれが万年続いてるの!?」と、口があんぐり。でも、何か理由があるはずだ!と、よ〜く観察して紐解いてみたら、良い評価がされているのは、その多くが過剰なほど自己アピールしている男性だということに気がつきました。
それでいて、うちの組織は比較的圧が強めのキャラの人が人事権を握っていて、彼らにとっても、自己アピールするようなハキハキ元気な男子は相性バッチリ。

そのベッタリな関係性に、静かに仕事をこなす女子たちが太刀打ちするのは、なかなか難しいものがありますよね。


“見えているもの”が第一の、オールドボーイズネットワーク


元気な男子は成果を上げるたびに「俺すごいでしょ?」「これやりました!」って侃侃諤諤。女子たちはそれを、恥ずかし気もなくよく言うよ……なんて鼻白んだり。
そんな構図は日々のあるあるなんですが、実は、マネージャーになってみたら、アピールしてくれる方が、むしろありがたいくらいに思うようになったんです。

上の立場からだと、言ってくれないと見えないことがいっぱいあって。そこで合点がいきました。
声の大きい人は評価されやすく、また、例えば飲みの席が好きな人は飲み会で接点ができるから上長に認知される。
見えているもの、聞こえてくるものって、当たり前に認識しやすいし、理解もしやすいんですよね。
となると、過剰な自己アピールにむしろ引いてしまうような控えめなタイプ、特に女子は、ますます陰に隠れてしまうんです。

裏で真面目に動いてくれていたり、よく見たらその人の仕事のおかげですごくみんなの生産性が上がっていたり。見えないところで活躍している彼女たちを引き上げたい。
彼女たちの仕事の仕方やリーダーシップの要素をもっと表面化できる環境を作れたら、もっといいことが起きるはず。

そのためには、ミドルマネージャーである私が一生懸命にならないと、上の人たちには伝わらないと思い至りました。


ミドルマネジメントだからこそ、みんなを自慢できる!


まず、個々の話を丁寧に聞くのはもちろん、1on1を必ず毎週30分行うようにしました。私自身が、彼女たちの功績を見落とさないように

それ以外に、節目節目に「私たちがやってきたことってこうだよね。すごくない?」みたいに振り返って、チーム内や個人にフィードバックするんです。
さらには、それをちょっと上の人やステークホルダーたちにも、私から伝えます。

定期的な報告のタイミングに合わせて、3〜4か月に1回くらい、あえて意識的に「私たち、実はこんなすごいことしてるんですよ」というようなアピールをするんです。
「私、すごいんですよ」でも「この人、すごいんですよ」というのでもなく、私たちのなかの誰々のすごさが、チームという組織全体にどう貢献したか、どんなインパクトを与えたか。

上の人やステークホルダーが見えている世界は限定的だから、ミドルマネージャーが声を大にして言わない限り、彼女たちの頑張りは届かないんですよ。
しかも、その届け方も、彼らの目線に立ってみると、点の話というか個人の成功事例だけではあまり影響力がない。だからこそ、“チームにとってのメンバーの提供価値”という形で私から“自慢”をしています。

結果的に、メンバー自身のやりがいも増やすことができ、自己成長の支援ができていると感じます。提案や要望が上がってきやすくなったのも、うれしい効果ですね。

オールドボーイズネットワークは根深いけれど、その存在を全否定はできないと思っています。だからこそ、多くの人にスポットライトがあたる環境へ、マネージャーである私が導いていけたらいいなと思っています。



イラストレーション:高橋由季












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