会議で決めたことを、部下が実践していない! こんなとき、どうする? 《部下の育成編-8》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
営業部でセールスマネージャーを務めるアケミさん。現場をまわるスタッフが、会議で決めたことをスルーしていることもあるんだとか……。仕事へのモチベーションが高く行動力もあるアケミさんだからこそ、その状況にやきもき。スタッフ時代の自身の経験を振り返りながら、部下の行動を促すために寄り添います。
合意形成を行なっても、行動に落とし込むのは至難の業!?
マネージャーとして、現場のセールススタッフをまとめる立場になって、もうすぐ1年です。
この仕事は面白くやりがいがありますが、チームメンバーに方向性や目標を理解してもらっても、それを実践してもらうことが難しいと日々実感しています。
例えば、会議で「今月はこのアクションがマスト」となり、全員が合意したとしますよね。でも、1カ月後に蓋を開けたら、一度も実施していない……なんて人もいるわけです。
会議の場では、「やってほしい」という私の思いは受け止めたかもしれないけれど、行動にまで落とし込むということに難しさがあるのかな。
私自身も5年以上セールススタッフとして働いていたので、わかる部分もあります。
まずは細かくケア。逆手に取って行動を共にすることも提案してみる!
実践まで持っていけないという人には、リーダーとして細かくケアするようにしています。
まず、その人のそれまでの状況を細かい部分まで見直します。そして、「来週までにできそうですか?」と直接問いかけます。「何件ぐらいいけそう?」と数字を聞くと、やりたくないという思いもあるからか、「うーん」と大概は曖昧な返事ですね。
でも、言い訳のように「来週は忙しくて……」などと言われても、ひとまずは「うん、そうだよね」と肯定します。
それから、「来週の予定、一緒に確認しましょう」と提案。フォローできるところはフォローすると伝え、こちらの都合も合わせて、「私も営業先に一緒に行こうか」と歩み寄ったりもします。
そうすると、やっぱり上司にくっついてこられるのは嫌だから、「自分でやってみます」となる。
順を追ってケアをして、行動を促すようにしています。
相手によって、言い方は変えるようにしています。アプローチの結果として圧が弱すぎたかも?という人に対しては、「ちょっとやってくれないと困るな!」とピシャリと言うときもありますね。
自分1人で考えるとネガティブになりがちだから、直接のコミュニケーションを
そうやって直接コミュニケーションをとらないと、ネガティブな方向に妄想を膨らましてしまうんですよね。「何でやってないんだ!?」と考えはじめると、どんどん深みにハマり、誰もそんなことは言っていないのに「私が悪く思われてるからやってないのか……」などと、自らマイナスのループに入る。
そうならないためにも、絶対に生の声を聞いた方が健全です。お酒が入った方が話しやすそうだったら、飲みながら話を聞くことも。
幸い、私だけでなくメンバー全員が飲み好きだから、そこには苦労していません。「飲みたい」ってことを前面に出しつつも、「あのアクション、やっぱり面倒くさいですか?」と聞いたりして。そこで胸の内を聞き出せたら、改善策も見つけやすいですね。
直接対面して声を聞くと、自分の思い込みで悩む時間も減らせるので一石二鳥。ふだんからコミュニケーションを怠らないようにして、メンバーの実践力を引き出していけたらと思います。
イラストレーション:高橋由季