「若い世代や年上の部下とのコミュニケーションにモヤモヤ」 部下との向き合い方を小嶋美代子さんが伝授
管理職をやっていくなかで、誰もが胸に抱える大小さまざまなモヤモヤ。一口に「女性管理職」といっても立場や状況は千差万別、正解がひとつではないからこそ、なかなかスッキリ解決なんかしないですよね。
今回は、企業のダイバーシティ経営を支援する株式会社アワシャーレ代表取締役であり女性のキャリアに詳しい小嶋 美代子さんに、F30プロジェクトの取材やアンケートでよく耳にする“女性管理職モヤモヤ”を投げかけました。
Part.3は、「部下とのかかわり」について。タイプがさまざまな部下に対して、上司としてどう向き合っていくのか。みなさんがそれぞれに答えを探すヒントとなりますように。
>>Part 1「心構え編」はこちら
>>Part 2「チームマネジメント編」はこちら
<あるあるモヤモヤ>
年上世代、年下世代、どちらの部下も難しい!
■小嶋さんのアドバイス■
“年上だから”“年下だから”が本当の問題?
私はまず、年上、年下の区別なく、できる限り丁寧な言葉と敬語を使うようにしています。自分よりどんなに若い世代であっても一定の距離感を保ちたいので、「これ終わってる?」ではなく「これ、終わってますか?」という言い方にしています。
年上の部下に対しては、私も長い間悩んでいました。コミュニケーションが課題だと思って、「甘えて懐に入って教えてもらう」とか「こちらは上司なんだとマウントする」とか、いろんな人から聞いたノウハウを試したんですけど、関係はあまり変わらなかったですね。
そこから10年以上経った今になって思うのは、難しい部下だっただけで、年上か年下かは関係なかったということです。 “年上だから提案を拒絶した”じゃなくて、“その人が提案を拒絶した”という単純な問題だったのに、“年上だから”という理由で簡単にまとめようとしたんですね。
年上、年下に関係なく、難しい部下はどこにでもいて、一朝一夕に解決策は出ないと思います。私の場合、“この人に向き合う”という対応をとるべきだったと、今になって思います。やっぱり態度は鏡ですよね。こちらが苦手意識でいたら、向こうも“女性管理職なんか屁の河童じゃ”という意識になりますよ。視点を変えれば解決策は見えてくるかもしれません。
解決策は正しい問題文によって導き出される
視点を変えて解決策を導き出すには、「正しい問題文を作ること」に注意するといいと思います。問題文が正しかったら、何らかの方法で正解が出ますが、間違っていたら、いくら答えを出しても解決することはありません。
多くのケースで、問題文を作らずに答えを出そうとするんですよ。仕事の提案書でも問題点を挙げてから解決策を挙げますよね。でも、自分のことになると、課題設定や問題設定を明確にしないまま性急に解き始めるんです。
ノートに問題文を書いていく中で違和感を覚えて、ゆらぎと思考が始まり、自分の思考のクセが見えてくると思います。そして常に、“間違っているかもしれない”と意識しながら問題文を読み直すこと。そうすることで、向き合うべき正しい問題と、それに対する解決策を導き出すことができます。
<あるあるモヤモヤ>
意思表示をしない部下の扱い方って?
■小嶋さんのアドバイス■
部下の沈黙は“YES”ではなく“NO”と受けとる
人間は声以外にも発信しているので、よく見ていたらその人の信号は拾えるんじゃないかなと思うんです。中には、何らかの不自由を持っている方もいて、会議中は固まっちゃうけれど、休憩時間にはしゃべるとか、そういうこともあります。自分との間で話さないのであれば、ほかの人との間で何を話しているのか、間接的に見ればいいのかなと思いますね。
それから、“沈黙はYES”とは絶対に受けとらないことです! 自分が沈黙しているときのことを考えると、たいてい“NO”ですからね。テンポが違うのかもしれないですし、意見をハッキリ言わないニュートラルな人も一定数いるので、それぞれに合うコミュニケーションを手探りでやっていくしかないです。上司として、イラっとしても顔や声に出さない訓練はしておいたほうがいいですね。
<お話を伺った人>
株式会社アワシャーレ
代表取締役
小嶋 美代子さん