中途で入ってきた上司が、前職のやり方でチーム内を振り回す。こんなとき、どうする? 《リーダーの在り方編-11》
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
今回は、中途で入社してきて新たに上司となった男性と噛み合わず、内部通報をしようかというところまで悩まされたというふみさんのエピソード。相手にばかり目を向けるのではなく、視点をもっと上に持っていったら、意外な策が見つかったそうです。
大手企業から転職してきた上司。仕事のやり方は前職をひきずったまま……
数年前、シニア世代一歩手前の男性が中途で入社してきて、私がリーダーを務めるチームの上司になったんです。彼の前職は、特殊な大手企業。私たちのような比較的歴史が浅い企業とは、ビジネスモデルがまるっきり違ったんですよね。
これまで、“潤沢な予算をどうやって使うか”という姿勢だったんでしょう。こちらはむしろ、少ない予算でいかに価値あるものを生み出していくかという、最短距離を目指した動き方をしているんです。
だから、明確な目的もなく「これやってみようよ〜」などとふんわりしたことを言ってくる彼とは、全然噛み合いませんよね。
チーム全体が振り回されてしまって、泣き出すメンバーもいる始末。彼ははたから見ても明らかに浮いていたけれど、本人はそれにちっとも気づいておらず、勘違いをし続けているような状況でした。
私はとにかくメンバーを守ろうと必死。でも、それがおもしろくない様子
私はメンバーを守らなきゃいけないので、上司の出してくる指示を私なりに噛み砕いてから下に落とすようにがんばりました。でも、プライドが高く、昭和の価値観のままの彼からすると、それもおもしろくないんですよね。
「ふみさんって仕事できるけどさ」を枕詞に、グジグジ言ってくる感じになっちゃったんです。「もっと俺を立ててよ」って。
メンバーと私の関係性も、「ふみさんの言うことは絶対に聞くし、軍隊みたいだよね」とか。自分の方が浮いているだけなのに、穿った見方でこちらに文句をつけてくる。
挙句、社内の人事調査で、私が上司とうまくいってないことを正直に書いたら、「これは僕に対するヘイトですか」って……。事実を回答すべきところを牽制してくること自体パワハラになるので、内部通報しようかとも悩みました。
上司よりも上の立場の人たちを信じて。時を待つのも手段!
でも、冷静に考えてみれば、この状況に上層部も気が付かないはずがないんですよね。私自身がどうにかしようとするのではなく、上層部がどう動くか様子を見てみようと、しばらく我慢することにしました。
そんななか、上司は私のことをよく思っていないので、それを上層部に言うわけです。「ふみさんは仕事はできるけど、生意気で……」って。でも、その枕詞が実は肝になっていて(笑)。
上層部は「そんなに気に入らないんなら、ふみさんを外して、君がメンバーを束ねればいいんじゃない」とわざと返したそうなんです。
彼も私抜きでは仕事が回らないことはわかっているから、外すことはできない。ぐうの音も出ないですよね。
その辺りから、先は長くないだろうと静観していたら、彼はやっぱり異動になりました。
彼が上司だった間は、私自身大きなストレスを感じていたけれど、リーダーである私が上司とうまくやれるかどうかがメンバーの働きやすさにつながるということも実感させられましたね。
このときは時を待つことで解決につながったけれど、いろいろなやりようがあるのではないかと、模索を続けています。
イラストレーション:高橋由季