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深い友だちがいない私は人として欠陥があるのでしょうか?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室475】


✳️今週のお悩み✳️
私は人と長時間、深い話をすることが苦手です。なので、その人と合う部分で浅い付き合いをすることが多いです。例えばブログに『ライムスター宇多丸のお悩み相談室』の本の感想を書いたら、宇多丸さんファンですと言う方からブログにコメントしてもらい、そこからちょっと交流があり満足しています。ラジオを聴くのが好きで、ラジオで自分の知らない生き方・考え方に出会うことが楽しいです。こばなみさんのPodcastインタビューも聴き、私にとってはそれが人との交流の一つです。
そんな私に対して、私から見て、どーでもいい人から「あなたもっと、しょっちゅう人と会って、気軽にお茶したり、飲み友だちを作りなさい」と言われることが多くウンザリします。インターネットや本で見る情報にも惑わされます。私は宇多丸さんの友だちとの交流、ジェーン・スーさんの女友だちのお話、ドラマ『SEX AND THE CITY』など女友だちのドラマを作品として楽しむことは大好きです。しかし、インターネットや本で書かれていた「ジェーン・スーさんのような女友だちいない私の人生(悲惨)」「『SEX AND THE CITY』のような女友だちいない私の人生(悲惨)」、この(悲惨)と思える人の方が何だか私より豊かで、自分に欠陥があるのではと考えてしまいます。それとマスメディア(ラジオ・TV・YouTube)で「深い友だちはいなければならない!」という発言に、深い友だちがいない私は人として欠陥があるのでは?と感じてしまいます。誰かに「深い友だちを作れ!」と言われたときの捉え方、私が何となく強い繋がりを求める人の方が自分より人として上だと思ってしまうことに対して、宇多丸さん、こばなみさんがどう考えるか教えてください。よろしくお願いします。
(ココロだるま・50歳・施設職員・東京都)


みなさま、あけましておめでとうございます!


今年も何卒、よろしくお願いします! さて、さっそくですが2025年一発目のお悩み、レッツゴー!


ココロだるまさんにまず言っておきたいのは、僕はむしろ、人付き合いははっきり悪いほうですよ!
プライベートで定期的に会うような友だちなんか、片手で余る程度しかいないですし、それですら近年はさらに、頻度が落ちるいっぽうですから。

毎日仕事でさんざん人には会ってるよというのもあるし、そもそも一人っ子だからか、いっつも誰かと一緒につるんでる、みたいなのが、もともとあんまり得意じゃないんですよね。
基本、単独行動が心地いい。
SNSもやってないから、事実上プライベートでは、ほとんど誰とも連絡取ってないですよ、ホントに。

で、それが何か?って、僕はふつうに思ってますし。
ココロだるまさんだって、本来はぜんぜん余裕でそっち派なわけでしょ。
だったらそれでなんの問題もなくない?

だいたい「深い友だち」って……どんなのを指すんですかね。


はて?と考えてしまいました。

学生時代とかは、世界が狭いからしょっちゅう一緒にいること=深い友だち、みたいのだったけど、社会人になって、だいたいそんなしょっちゅう会う時間もないし、時間と深さが必ずしも比例するわけでもないし……。


なんにせよ、延々ベタベタし合うのが好きな人たちはべつにそうすりゃいいけどさ、というだけの、ただの「好み」の話じゃないんですかね。

ココロだるまさんは、前半部に書いてあるようなモードで、それまで十分満足してたわけでしょ?
だったらそれでいいじゃん、と思うし……なんか言われたにしても、「どーでもいい人」って言いきれるくらいの相手なわけでしょ? 
ならやっぱり、どーでもいいじゃん!(笑)

頼んでもないのに人の生き方にくっそ表面的なご忠告を得意げにして回ってるようなヤツのほうが、どう考えたって「浅い」だろ!って(笑)。

ただ、この連載をやっているとたしかに、「本来は問題なく自己完結していたような人が、知人やマスコミ、SNSなど、周囲から絶え間なく発される雑音によって、ついつい迷い始めてしまう」ってタイプの相談、定期的に来ますよね。

だからたぶんやっぱり、数回前の回答で言ったこととも通じますけど、もうちょっと皆さん、自分の心の部屋を常に整理整頓しておくよう、意識的に心がけたほうがいいのかもしれないですよね、とくにこの、いよいよ本気で情報過多な時代においては。

自分にとって不要なガラクタみたいなものは、できるだけ片付けてですね……なんならハナから部屋に持ち込まないようにして。
実際SNSとかやってると、半ば一方的かつひっきりなしに、注文したわけでもない「情報」という名の届け物が、どんどんどんどん来ちゃうわけじゃない?
はい通知ですチーン! はい通知ですチーン!って(笑)。

そうこうするうちに、快適に暮らせてたはずの部屋に、目に入るだけで気分がちょっと曇るようなものが溜まっていっちゃって……ついには「ひょっとして、こんな部屋に住んでる私が悪いのかな?」なんて思い始めてしまう。
いやいやいやいや、誰かが放り込んできたゴミみたいなもんが積もり積もって、結果住みづらく見えてるだけだから!っていうさ。


汚部屋が頭に浮かんできました!


そうなるのが目に見えてるし面倒だから自分ではSNSアカウント持ってない、というのはぶっちゃけありますよ。
僕だって当然インターネットの恩恵には毎日浴しまくってるわけですけど、調べ物にしろ買い物にしろ、必要なら然るべき場所にこちらから出向くんで、勝手にウチ来ないでくれます?っていう基本スタンスは見失わないようにしないと、とは考えてますね。

一方で、いらんことばかりゴチャゴチャゴチャゴチャ吹き込んでくる「誰か」なんかではなく、ブログを通じて気が合う方と交流しているというのは、僕はむしろ、すごく具体的なコミュニケーションの話だと思うんですよね。

いつも言ってるけど、すぐそばにいる生きた人間とはまるで話が通じないのに、何百年も前に死んだ外国人とは書物を通じてちゃんと対話できてる!なんてこと、ぜんぜんありますから。
やたら友人知人の数だけ多いなんてヤツより、そっちのがよっぽど「深い」、ちゃんとした人としての付き合いじゃないかと僕は思うけどなぁ。


なんか、このどーでもいい人の言ってることも、よくよく読むとわからないですね。「あなた、もっと、しょっちゅう人と会って、気軽にお茶したり、飲み友だちを作りなさい」って。


まぁ、そっちの楽しさというのがそれはそれでたしかにある、というのはわかるけども、それだけが唯一の充実した生の過ごし方というわけではもちろんないし、言うまでもなく、他人に説教されて目指さなきゃいけないようなもんでもない。
端的に言えば、『余計なお世話だバカヤロウ』ってだけのことでしょう、例によって!


こういう余計なことを言う人の心理がいつもわからない。
誰かのためを思って、とかなのかもしれないんですけども、まさにこの連載の単行本の帯のフレーズ「そいつらがこっちの人生に責任とってくれるわけじゃなし!」じゃないですか!!


まさにそうだね。

もちろんね、本当に有意義なことは人と人との関わりの中にしかない、的なのも、それはそれで、ひとつの真実ではあるかもしれないけど……そんなのは、人生の中で一回あるかないか、それも「後から振り返ればあれがそうだったかも?」くらいのものであって、そんな、「さぁこれから、より意義ある人生を歩むために、人と深いつながりを持ちましょう!」みたいな、自己啓発本みたいな姿勢でガツガツ拾いに行くようなもんじゃないですよ、どっちにしろ。

あとね、『SEX AND THE CITY』は、フィクションだから!(笑)
しかもさ、『SEX AND THE CITY』でさえですよ、キャリーとサマンサは現実世界では仲違いしちゃって、もう二度と共演なんかしねぇ!ってなってるわけだから。
それだってがっつり「悲惨」でしょ!

てか、何が幸せで何が悲惨とか、物差しによってぜんぜん話も変わってきちゃうしさ。
当然ひとつの正解があるわけじゃないし、まして他人から決めつけられるようなもんじゃ絶対ないから。


さっき宇多丸さんが言ってたけど、「深い」っていうのは、後で振り返ればそうだったんだ、ってのは本当にそう思う。


ジェーン・スーさんだってね、かれこれ30年以上の付き合いですけども、僕から見る限り、友人の「数」が特別多いっていうタイプでは、やはりまったくない気がしますよ。
ついさっき仕事で会って本人にも確かめたから間違いない!(笑)
じつはふつうに変わりばえしないメンツと会い続けてるだけなんだけど、そこに豊かなおもしろさみたいなものを「見出す」視線を持ててるかどうか、という違いなんじゃないですかね、どちらかと言うと。

ということでね。
ココロだるまさんはもともと何も間違ってなかったんだから、少なくともご自身が無意味に心乱れるような外野のヤジはあまり耳に入らないよう、できれば情報摂取の入り口をちょっと絞ったうえで、「どーでもいい」代物が紛れこんできちゃったらさっさとゴミ箱フォルダに入れるクセだけつけて、一件落着!になんとかできないかな、と僕は思いますよ。

あとはとにかくみなさん、アプリの通知機能だけは、一度オンオフを見直してみたほうがいいと、個人的にはマジで思いますけどね。

こばなみなんかどうせあれだろ、相変わらず赤丸の中の数字が5ケタとかになるまで通知を放置して、もうなんか、フランスパンみたいなカタチになっちゃってたりするんでしょ?


うぐ……10011って横長の赤丸がある……。


うわっ! これはひどい……何かの記録に挑戦してるのか!?(笑)
一気に消すだけなら一瞬なんだから、片せっつーの!




【今週のお絵描き】

画・宇多丸


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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:55の生放送)をはじめ、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。

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こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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