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同居中の妹の"すする"飲み方・食べ方が気になって仕方ない!指摘するべき?しないべき?【ライムスター宇多丸のお悩み相談室468】


✳️今週のお悩み✳️
少し前から妹との二人暮らしを始めたのですが、妹の飲み方・食べ方が気になって仕方ありません。なんでもすする癖があるようで、熱い食べ物であればまだすする必要性もあるかなと我慢できるのですが、冷たい水まですすって飲むのでそのたびに内心やめてくれ……と思ってしまいます。

一緒に暮らすにあたってお互い我慢できない部分についてはできる限り妥協点を探れればと思ってはいるのですが、どう話を切り出したらいいものか、あるいはそもそも言わずにそのままにしておくべきなのか悩んでいます。というのもまず、実家で一緒に暮らしていた頃にも妹の食べ方の癖についてかなりしつこく指摘してしまったことがあり、そのときの言い方は良くなかった、妹を傷つけてしまっていたのではないか、という後悔があります。

それと自分自身、無意識にしていること(それこそ食べ方など)について何か指摘されるとショックが先立って、その後の話があまり入ってこなくなってしまうタイプで、他人に対しても無意識な部分についてどのように伝えたらいいかがわかりません。また、私がそもそも細かいことが気になるタイプでもあり、人によっては気にならない可能性もあるのかな?とも思います。

食事はそれぞれで用意して食べる形になっているので、食事のタイミングを極力ずらすというのも可能ではあるのですが、言わずにこのまま過ごすべきでしょうか? あるいは言うとなった場合、どのような伝え方をすれば妹になるべくショックを与えず受け止めてもらえるでしょうか?
(はまやま・29歳・会社員・東京都)



食事のマナーでいえば、すっごい前に彼氏の箸の持ち方について悩んでいる話はありましたね。


まぁ、「すする」食べ方というのは日本に長年根づいてきたものでもあって、場所によってはなんの問題にもならないことはぜんぜんあると思うから、箸の使い方がおかしいとかいう件とは、ちょっと次元が違う気がしますけどね。

しかしなんにせよ、僕自身がどちらかというと、食べるときに音を立てるのは麺類など含めて全般にイヤ派だし、そのくせ自分では気づかずやらかしちゃってる瞬間も山ほどあるんだろうなぁと内心ヒヤヒヤしていたりするので、はまやまさんの気持ちは大変よくわかりますよ。
特に、自分自身が無意識にやっちゃってたマナー違反とかについて、改めて他人から指摘されたりするとつい頭に血が上ってしまう、なんてのは、誰だってそうなんじゃない?って話ですよね。


思い出しただけでもうやめてくれ~ってなりますよ(泣)。


とまぁ、そういうことは前提としたうえで……。

はまやまさんの相談文を読んでいて僕が感じたのは、これって実は、食事マナーの問題というよりは、誰かと二人暮らしを始めたときに起こりがちな、要は「同居ストレス」って側面が大きいんじゃないかな?ということで。

たとえば、どれだけ恋愛関係としては最高に合うと思えるようなカップルでも、毎日顔を突き合わせて生活を続けられるか?というのは、まるっきり別問題というか、またまったく違う相性なり覚悟なり、が必要になってくる局面だと思うんですよね。

たいていの場合、どんなに仲いい人たちだろうと、同じ場所でずーっと顔を突き合わせて暮らしていると、だんだんとお互いのやることなすことが、目障り、耳障りになってくる。
ツアーなどの経験則から見ると、遅くともだいたい10日~2週間目くらいから、危なくなってくるんじゃないですかね?(笑)
それは、どちらかが悪いとかではなく、おそらく人間という動物の習性上、仕方がないことなんですよ。

逆に言えば、そこをなんらかの方法で乗り越えられるかどうかこそが、関係性としての勝負、というか。

はまやまさんの場合は、そういう軋轢が妹さんとの間に生じた、ということじゃないのかなぁ。


でも、家族で一緒に暮らしてたときは、なんとかなっていたんですよね。


僕は兄弟姉妹がいないからわからないけど、二人の間に「親というクッション」があるかないかは、やっぱり大きいんじゃない?
妹さんと完全に一対一、個対個として全面的に対峙し続けるのは、ある意味今回が初めてだったりもするんじゃないですかね。


妹さんに食べ方の癖について指摘したことはあるって書いてありましたね。


それも「かなりしつこく」だったんだもんね。
それでもあまり改善したように感じられないのだとしたら、これ以上そこにこだわり続けても、お互いにとってあまり身のあることにはならない可能性は高いかもしれませんよね……。
妹さんだってもう大人なんだろうから。


お悩みとしては、言わずにこのまま過ごすべきでしょうかってことなんですよね。


姉妹の在り方というのももちろんそれぞれだろうけど、はまやまさんのところは、文から察する限り、喧嘩をカジュアルにするようなタイプじゃ、明らかにない感じですよね。
良くも悪くもなんでも遠慮なく言えちゃうような関係では、どうやらない。
もしそうなら、最初からこういう悩みにはなってないわけだしね。

だとしたらやっぱり、僕個人の意見を言うならば、妹さんの飲食スタイルを「矯正」しなきゃ、というような方向の考え方は、もうあまりしないほうがいいんじゃないかな、とは思いますけどね。

それよりも、さっき言ったように、これは実は食事マナーの問題ではなく同居ストレスなんだ、という認識に切り替えて、ならばそれを減らしてゆくにはどうしたらいいのか、を考えたほうが建設的なのではないかと思います。

それこそ、赤の他人とシェアハウスしてるんだ、くらいのモードでいたほうがいいんだと思うんですよね。
逆に、「肉親だから」わかり合えるとか、不快に感じないようにしなきゃとか、全部有害な思い込みでしかない、くらいに考えたほうがいいと思いますよ。

血がつながっていようと一緒に育とうと、他者は他者!
そこを忘れてしまったときにむしろ、無神経な傷つけ合いとかが生じてしまうんだと思います。


血縁は同じ価値観であらねば、あるはずだっていうのは幻想なので、その幻想は捨てたほうがいいかもってことですよね。
これちなみに、結婚するとより一層、価値観が分裂しますよねぇ。相手に伴侶がいるから、もっと他人になる気がする。


そうだね。

とにかく、「シェアハウスでたまたま一緒に住んでる人」に、食べ方のマナーを指摘するか?というくらいに考えてみれば、きっとホントにちょうどいいんだと思う。
マナー違反の程度にもよるけど、まぁやっぱり、それは結構ハードル高いじゃん?

それより、そんなんでお互い気まずい思いをしかねないぐらいなら、普段は食事の時間をずらすとか、要は「距離を適切に取る」ことで、穏便に対処しようとすると思うんです、他人同士ならば、普通は。

はまやまさんも、妹さんとの関係を、そのくらいの距離感で捉え直してみてはいかがでしょうか?

さもなきゃやっぱり、同居自体を考え直すか……。
あ、これも前から繰り返している持論ですけど、同居ストレスの増減に、住居の「間取り」は非常に大きなファクターとなりますから、要注意!
具体的には、それぞれのプライベート空間を生活音が気にならない程度には離れた位置にしっかり確保できるかどうか?が結構大きな分かれ目になると、僕自身は強く考えております。
それが難しいなら、狭くはなってもやっぱり別々に住んだほうが、結局はいいんじゃないかなぁ……。

参考になりましたかね?


相手を変えるより自分の行動を変えるほうがラクですしね。地味にストレスが積もっていきそうな問題なので、どうか早く解決しますように!




【お絵描き】

画・宇多丸



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<プロフィール>

ライムスター・宇多丸
日本を代表するヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」のラッパー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」(毎週月曜日から木曜日22:00-23:55の生放送)をはじめ、さまざまなメディアで切れたトークとマルチな知識で活躍中。


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こばなみ
2010年、iPhoneの使い方がわからなかった自身と世の中の女子に向けた簡単解説本「はじめまして。iPhone」を発行し、「iPhone女子部」を結成。2015年からは「女子部JAPAN」として、Webでのコンテンツ発信とイベントを企画・実施。2022年からは「F30プロジェクト」と題して、リーダーとして働く女性の生声を取材し、noteで発信。女性活躍推進など、"女性"という枕詞がなくなる世の中を目指している。



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