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意思決定者は私なのに、相手から信頼されているように感じられない。こんなとき、どうする?

リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。

そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

サービス・販売系企業のCFOとして活躍するきなこもちさんは、20代から役員として社外と取引をすることも多かったそう。ところが、なぜか相手は自分を役員として見てくれていない……。そんな状況に当初はモヤモヤしていたきなこもちさんですが、キャリアを重ねていくなかで自分の目指すリーダー像が見えてきたようです。

ニックネーム:きなこもち(30代)
◆職種:サービス・販売系企業 執行役員CFO
◆チームメンバーの人数:8人
新卒で投資銀行に勤めた後、結婚を機に転職。その後、上場準備責任者としてベンチャー企業に入社。小学校時代から国際協力や世界平和に興味を持ち、20代で執行役員に。目下の目標は、皆が生き生きと働ける職場をつくること。結婚・出産・育児とライフステージが変わるなか、自分らしく楽しむ働き方を模索中。


いざ対面すると、役員として見てもらえない。初対面で失礼な物言いをされることも……


私は、新卒で投資銀行に入社してから今までずっと、男性比率が高い業界で働いてきました。すると、私が役員として社外とやりとりをするようになっても、男性社員と一緒に新規の取引先に向かった際に、男性が役員で私はそのアシスタントと勝手に決めつけられてしまうようなことが多々あったんです。

このことに関して、若い頃は自分が信用されていないのではないか、仕事ができないと思われているのではないかと不安になっていました。その対策として、服装を大人っぽくしてみたり、クマが目立った方が老けて見えるかなと、あえてすっぴんでいたり……。ある意味で「見た目」に気を遣い、舐められないようにしなきゃと必死でした。


一定の敬意は示しつつ、へりくだりすぎない! 自分の立場を逆手にとって、しなやかな対応を


でも、実績を積んで自信がつくにつれて、だんだんとそのような不安や焦りは消えていきました。初対面のときに相手から役員として見てもらえなくても、その後、仕事ぶりをしっかりとアピールすれば、信頼を得ることができます。だから初対面からタメ口で来られた場合も、こちら側からは常に敬意を持ったコミュニケーションを心がけました。

とはいえ、へりくだりすぎず、仕事上で伝えたいことはきちんと伝えるのが大事! 相手と程よくフラットな関係を築きながらも信頼を勝ち取れるよう、提案内容はかなりしっかり作り込みましたね。物腰は柔らかく、でも腹の内には、自分がいろいろ決められるんだぞ!という熱い思いを持っていました。

あとは、女性であることがメリットとなる場面もあると気づいたことも、気持ちが変化した理由として大きいかもしれません。例えば、役職に就いていると思われない方が、変に警戒されず取引先の幹部に近づきやすかったりするので、結果として有利に営業をかけられることもあります。

かつては「若い女性」であるというだけで接待に呼ばれたり、親しげに話しかけられたりすることに引っかかりがあったのですが、今は自分の仕事に自信がついたからこそ、「商談がまとまりやすいし、この立場を最大限活用しよう」と思えるようになりました。


自己肯定感が、動じない自分を作る。新しいことにも物怖じせず、経験を積んでいくことが大事!


男性社会で働いていると、周りから実力を過小評価されたり、性別的な価値しか見出されていないのではないか?と感じる出来事があったりもします。そんなときも、実力に自信があれば、周りからの評価に必要以上に振り回されず、自分なりに周りの人と信頼関係を築いて前に進むことができます。

その実力を身につけるためには、自己研鑽も大事だと思っています。専門的な知識を身につけてスキルとして認識できると、仕事でも自分を活かせている実感が生まれるんです。

あと、大切なのは「新しいことに順応する力」でしょうか。マネジメントの仕事にはルーティンというものは基本的に存在しなくて、常に新しいことの連続。想定外のできごとが起きたときにも最終的な意思決定をする立場にあるので、いかに素早く必要な知識を身につけて対応できるかが大事になってきます。

もちろん、前例がないぶん失敗することもあるのですが、たとえ失敗したとしても、後から振り返ったときにそうするしかなかったと納得できるまでやり切るようにしています。そうすることで、やり切った自分に自信が持てて、次のステップにつながるんです。

こうやって新しいことに恐れず挑戦して、いろいろな経験を積んでいくことで、周りの“偏った”ジェンダー観などには左右されない自己肯定感が、自分の中にしっかり生まれる気がします。


皆の輪に溶け込みつつ、会社全体を良い方向に持っていく。「縁の下の力持ち」のようなリーダーが理想的


初見で取引先などから「権力を持たない人間」と判断されてしまうことに、ある意味コンプレックスを抱えてきた私ですが、とはいえ、チームメンバーから崇められたいとはまったく思っていません。組織をまとめる立場にあっても、メンバーとはフラットな関係性が築けるよう気をつけています。

「上と下」にしてしまうと、ついていくかついていかないかの二択になってしまいますし、体育会系のノリでやっていても必ずしも人がついてくるわけではありません。トップダウンではなく、みんなの輪に混じりながら、チームをより良い方向に持っていく方法を探っていきたいです。

現場の視点をキャッチしながら、必要なときには権限を使って、会社全体を外側から整えていく。いうなれば「縁の下の力持ち」のようなリーダーでしょうか。一従業員としての立場とリーダーとしての立場、二つの視点を行ったり来たりしながら、会社全体が最適な状態になるようマネジメントしていければと思います。



イラストレーション:高橋由季







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