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プライベートに事情があるメンバーばかりだけど、上層部はなかなか理解を示してくれない。こんなとき、どうする? 《チームマネジメント編-14》

リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。

同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。

ジュリさんは、介護支援事業のチームをまとめる立場。メンバーには、プライベートでいろいろな事情を抱えている人がいます。働き方を見直せないか上司に掛け合ってみても、「売上もあるから」とバッサリ。上が動かないなら、チームでフォローし合おうと決心。まずは自身が各々の事情をしっかり把握し、それから指揮をとるようにしたのでした。


部下の今の働き方は限界だと上司に伝えたが、聞き入れてもらえず衝突!


サービス提供責任者や介護スタッフは、利用者さんの数が多くなればなるほど、支援だけでなく管理をする方の業務も忙しくなってくるんですね。そんななかで、どうしても仕事ができる人に自然と業務が集中してしまいがちになる。もちろん、現場での介護支援の仕事もするなかで、です。

仕事が集中してしまっているメンバーというのが、お子さんがまだ生まれて半年かそのぐらいの女性で。
私が上司とのミーティングの際に、働き方や勤務時間について、もう少し改善をした方がいいんじゃないかと提案をしたんですが、「いや、今の課題はそこじゃない」と言われてしまったんです。
「どんどん業務もこなしていって、売上も上げていかなくちゃいけないから」と。

たしかに、売上の面は社員全員のお給料にも影響するわけだから、無視することはできない。ただそうは言っても、身体が資本。無理はできませんよね。この部分は、上司含め全員が腹を割って話し合いをしなくちゃいけないと、個人的には思うんですが……。
「働き方を見直すタイミングが違う」というのが上司の言い分。完全に意見が割れてしまいました。


制度を変えることができないのなら、チームのなかで助け合うしかない


それで一旦、上司に頼るのはやめました。
自分の思いを優先することにした
んです。

今いるメンバーで一丸となって、目標に向かって取り組んでいきたい。
できれば今のメンバー1人も退職せず、同じメンツで1年後2年後も仕事していきたい。
だからこそ、数字ももちろん大事だけれど、一人ひとりが限界を迎えてしまうような働き方をしないようにするぞ、と。

現場では、介護スタッフが急遽お休みになると、サービス提供責任者もしくは管理者が代わりに支援に入ることになっているんです。
でも、サービス提供責任者や管理者に頼るばかりでなく、メンバーのなかで協力をし合って、少しでも余裕がある人が担うようにして対応してみようという方向に舵を切りました。


わかりあうための時間を作り、リーダーである自分がつなぎ目になる


まず私がメンバーの事情を理解するために、メールやLINEで聞き取りをするようにしました。
ただ、文章ってやっぱり難しくて、行き違いや伝えたいことのすれ違いが多くなってしまいますよね。

だから、なるべく直接会って話をするようにしたんです。メンバーの負担にならないためにも、空いている時間をうかがって、現場の近くなどで待ち合わせをして。
例えば、介護スタッフから「時間がないから無理です」と言わることもありますが、そういうときは、利用者さんのご自宅に支援に伺う前後10分くらいを空けてもらうようお願いをします。OKがもらえたら私がその時間に出向いて、状況や胸の内を教えてもらっていました。


チーム内で生まれた、お互いを思いやる流れ。私も動けるときは動く!


すると、メンバー各々でもプライベートの話題を持ち出しやすくなったのか、「子供が小学生で、こんな習い事をしているから送迎に忙しくて」とか、「もう子供は20歳過ぎてるけど、まだ手が掛かるよ」とか、そういう会話をするようにもなって。
そのうち、私が調整しなくても「そこ大変だから俺がやるよ」とか、「大丈夫、それは私がやっておくよ」と、メンバー同士で助け合う流れになってきました。

プライベートに関しては、今まで私自身が苦労してきて理解できる部分も多いので、メンバーの役に立ちたいと思っているんです。
例えば子育て。子どもが学校から帰ってくる時間内に帰って「おかえり」を言ってあげたい。夜勤のときは朝1時間でも早く上がって、「いってらっしゃい」と送り出してあげたい。そんな気持ちがよくわかるので、どうにか調整できるよう工夫しています。

ただ、利用者さん一人ひとりの支援の時間は決まっているので、簡単に時間を短縮するということはできません。そのメンバーだけの事情を汲み取って対応すれば、周りからは「なんであの人だけ特別扱いなの」という見方も出てきてしまいます。
そうならないように、メンバーそれぞれの働きたい時間に合った支援先に異動させるなど、私の方で割り振りを見直しています。

一人ひとりとコミュニケーションをとって、その適正と状況に合わせて送り出していくというのが、私のマネジメントのやり方。
メンバー同士が協力し合っている姿を見ると、このチームワークがずっと続いてほしいなと思います。





イラストレーション:高橋由季










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